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Lost memory-1-
2009-09-05 Sat 22:21
太陽の日差しがさんさんと降り注ぐ昼下がり、名前の無い、だが人は住む小さな島の波打ち際で子ども達が遊んでいた
元気良く走り回っていると、一人が何かに躓いて転んだ
普段転ぶことの無い場所なのにと起きあがり、足元を見て驚いた
人が倒れている
 「にいちゃー!これだれー?」
まだあどけない舌足らずな言葉で前方の子ども達に問い掛ける
 「どうしたー?ってうわ!?誰だこいつ!!」
一番大きな男の子が掛けより大声をあげる
その声に反応して他の子ども達も駆け寄る
 「見たこと無いね…どこから来たのかなぁ」
 「生きてんのかな…」
一人が頬に触れる
だが其れで生死はわからない
 「誰か呼んで来ようよ。俺たちじゃわかんないよ」
一人が提案して全員が賛同する
 「ルイはここに居ろ。みんなで大人連れてくるから」
大きな男の子がたった一人の女の子にそう命じて他の子を引き連れて走り出した

 「ジェーイーンー!!」
村に着いた途端に大声を出し、村一番の大男の名前を呼ぶ
 「おう、お前ら。どうした?」
後ろから返事がした。褐色に日焼けした大男が立っていた
 「あ、ジェイン!海に人が倒れてた!!」
全員で囲み状況を説明する。が、相手は子どもの為要領を得ない
 「取り敢えず…ロン、お前が案内してくれ。他のみんなは大人何人かとカイナを連れて来い」
すぐさま指示を出して大きな男の子…ロンと共に海に向う
海に着くとまだそこに倒れたまだった
 「ルイ、そいつ動いた?」
 「ぜんぜん~」
先程から約30分、何の変化も無い
ジェインが掛けより海から引き上げて仰向けに寝かし、呼吸と脈を確かめる
どちらも確認できたが体温が低い
暖かい地域の為水温は高い。そう簡単に体温は下がらない筈だが、長時間浸かっていたのだろうか
 「ジェイン!どんな感じなの!?」
長い黒髪を後ろに束ね、白衣を着た若い女性が走ってきた
後ろには先程の子ども達と大人の男が3人走ってくる
 「あぁ、生きてはいる。呼吸も脈もある。ただ体温が少し低いと思うんだ。診てくれ」
そう言って場所を明渡す
ジェインが居た場所に座り触診を始める
 「どうなんだ?カイナ」
周りの人間全員が心配そうに見守る
 「水は飲んでないみたいね…先ずは診療所に運びましょう」
頭はあまり動かさない様にと指示を出してゆっくりと身体を持ち上げて村の診療所に運ぶ

 診療所の前にはあっという間に人だかりが出来た
50人も居ない村だ。話はすぐに広がる
 「あちこちに外傷が有るわね…岩にでもぶつけたのかしら」
 「頭は?打っているのか?」
見た所顔には傷は無いが袖から覗く腕には切り傷が幾つか見える
良く見ると整った顔をしている。身体は細いが筋肉質にも見える。
 「後頭部に2cm程あるわ。これで意識を失ったのかも…持っていた鞄に身分証みたいのはあった?」
発見されたときに袋を握り締めていた
診察中に見た瞳の色は緑だった。この辺ではあまり見ない色なので地方の人間なのは判断できた。性別も女性とわかった。胸が小さい…というか無いに近いので服を脱がせるまで解らなかった
 「駄目だ。そう言ったものは入っていない。でも銃が2丁入っていた。あとサバイバルナイフ。普通の姉ちゃんじゃないな。一つだけってなら護身用とも取れるが全部で3つだ」
 「そうね…背中に大きな傷跡もあったし。旅人か…軍人か…どちらにしても意識が戻るまでは解らないわね」
会話が途切れたとき一人の老女が病室に入ってきた
 「人が流れ着いたそうだな」
タンクトップを来ていても汗をかくぐらい暑いのに、黒く長いローブを羽織っている
 「おばば様…命に別状は無いのですが…意識が無く身元も解らないんです」
カイナの言葉を聞き、そばに近づいて頭の辺りに右手を翳す
それを二人は黙って見ていた
 「何も見えないのう…だが、もうそろそろ目を覚ますだろう」
そう告げて診療所を出ていった
その直後に女が目を覚ました
ゆっくりと目を動かして周りを見てから身体を起こそうとした
 「駄目よ!!すぐに動いては」
カイナが制止する
それを無視して上半身を起こし頭に手を添える
 「…ここ…は?」
発せられた言葉には力が入っていない
 「トゥルーヤ諸島の南の島よ。その村の診療所。貴方はここの浜で倒れていたの。なぜ海に落ちたのかとかわかる?」
身体を支えながら探る様に尋ねる
 「…いや…わからない…」
 「じゃあ…名前は?あと何処出身?カルテを作るから教えてもらえるかしら」
名前がわからなければ何かしら困る。これを聞かなければどうにもならない
 「名前は…あれ…えっと…あれ!?解らない…思い出せない!」
 「解らない!?」
二人の声が被り顔を見合わせる
-記憶喪失-
その言葉がすぐに浮かんだ
 「参ったわね…多分頭にあった傷が原因ね…取り敢えずはしっかり休むことね。もう少しで低体温症になるところだったわ。」
そう言いながら横になるように促す
 「私はカイナ。ここの医師よ。で、こっちがジェイン。何でも聴いてね。後で食事を持ってくるからそれまでじっとしていてね」
わかったと頷いたのを確認して二人とも部屋を出る
 「記憶が無いなんて…どうするんだ?」
 「どうするって言われても…先ずは体力を付けてもらわないと…それからじゃないとどうにも出来ないわ」
何処の誰ともわからない、記憶の無い人間が村に住むことになる…カイナ自身記憶喪失の人間を診たのは初めてだ
先が思いやられると頭を抱えてしまう
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朱蓮堂-後書き-
2009-02-22 Sun 00:45
やっと3話目が書けました…
時間が掛かってしまい申し訳ありませんでしたorz
これを書き始めたのは2007年
それで作中の10年前の日付が1997年なんですよね…
次はいつどんな話しが書けるかわかりませんがのんびりやっていこうと思います
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朱蓮堂-時計-③
2009-02-22 Sun 00:41
 翌日
いつもの様に起きて玄関の郵便受けから新聞を取り出して読み始める
何故かどの記事も見覚えがあった
-新聞屋のやつ間違えて何日か前の持ってきたのか?
そう思い日付を見た瞬間大声を出した
 「1997年11月○日!?」
何で10年前なんだ
急いでテレビを点ける
内容は新聞と同じだ
携帯を開くと日付は2007年11月○日だが圏外になっている
あぁ。これはきっと夢なんだとお約束のように頬を強くつねる
 「痛って」
頬を擦りながら今度はベランダから外を見る
ここ数年で出来たビルがすべて無い
 「一体…どうなってんだ?」
まだ頬の痛みは残っているが、夢でも痛いことはある。
そう思い、取りあえず会社に行く準備をする
いつもの様に玄関の鍵を閉め、エレベーターに乗りマンションの外に出る
-このマンションはちゃんとあるんだな。
そとに出て振り返るといま出てきたばかりのマンションが無くなっている
 「おいおい…マジかよ……」
いくら夢でも性質が悪い…
それに、夢でも妙な現実感がある
不安を抱きながら駅に向う
普段の通勤路も違和感だらけだ
すれ違う人の服装、持ち物、町並みすべてが’’現在’’と違う
 「古いな…」
ポツリと呟く
駅に着き改札で定期を出すが通れない
期限が切れているのか?と日付を確認するがまだ1ヶ月先まで使える
後ろの人が並んでいるので仕方なく切符を買いに券売機に行く
出てきた切符の日付も10年前だ
 (夢ならさっさと覚めてくれ)
そう考えながら電車に乗り会社の最寄の駅で降りる
いつもと同じ道を通り会社に向った筈だがそこには別の建物がある
康治の勤める会社の社屋は3年前に新築したばかり
 「ここも無いのかよ…」
辺りを見渡していると携帯がなった
 「…はい」
 「お前何をやっているんだ!!もう10時だぞ!!会議始まるぞ!!」
部長だ!
 「あ…あの…会社の前に居るはずなんですが…建物が…」
 「何を言ってるんだ!!もっとマシな嘘をつけないのか!!もう来なくていい!!」
嘘だなんて…こっちだってマシな嘘を聞きたいんだよ
とにかく会社に行かなくてはと探すことにしたが高い建物が見当たらない
それどころか普段昼食に利用する食堂やコーヒーショップ、本屋も見当たらない
考えてみると無いものはすべて10年以内に出来たものばかり
人が住んでいるのか?と思ってしまうような家は幾らか綺麗に見える
 「どうなっているんだよ!!」
思わず口に出てしまい、回りの人がいっせいにこちらを向く
一旦家に戻ろうと駅に行って時刻表を見る
するといつも乗る時間の電車が無い
去年改正になったがその前の時間とも違う
 『時計の時間がずれても決して針をいじらないで下さい。決っしてですよ』
また店の主人の言葉を思い出した
 「まさか俺が時計をいじったからか?いや、そんな訳…」
信じたくはない
しかし日付は10年前、時計を直したのは10分…
少し考えて時計を買った店に行く事にした

 店に着いて入るなり康治は驚いた
10年前ならその分人間は若い筈
だがそこに居た主人はこの前見た姿と全く一緒だ
 「いらっしゃいませ。何かお探し物ですか?」
 「あ…あの…1ヶ月前に時計を買った者ですが…」
 「時計ですか?うちには時計はあれ一つだけですが…」
そう言いながら小夜は壁を指差した
その先には康治が買った時計が掛けてあった
 「え!?あの時計俺が買った奴だ…」
本当に何がどうなっているのかわからない
何もかもが理解できない状態だがあの時計について何でも良いから聞かなくては
 「あの時計っていじったら何か起きますか?」
自分が変な事を行っていると自覚しながら尋ねた
少し間を空けて小夜が答える
 「あの時計は時間が狂い易いんですが、針を動かしてしまうとそれに応じて時間がずれてしまいます。
たとえば10分戻したら10年前へ、10分進めたら10年後へといったように」
 「そ…そんな…」
まさに自分の今の状況じゃないか…
昨日10分戻した。そしたら今10年前になってしまっている
 「それ、どうやったら戻れるんですか?」
なんとしてでも戻りたい。今日の会議は重要なプロジェクトなんだ…
入社して5年。やっと任せてもらえた仕事だ
 「なぜそのようなことを?」
訝しげに見る小夜に康治は状況を説明した
 「あぁ…だからいじらない様にと言ったのに…」
 「え?」
ここは10年前の筈
注意をしたのはこの女主人だがそれは彼女から見たら10年後の彼女だ
 「あなたのマンションがここで存在しないなら戻ることは出来ません。この時計の針を戻してもまた10年別の時間に行ってしまうだけです」
 「そんな…」
落胆して康治は店を出た
もう戻れないのか?本当に方法は無いのか?
そう考えながら歩いていると視界に川が現れた
 (そういやこの川の水深って結構深かったよな)
足は自然とそちらに向いた
 (こんなことになるなら昨日美恵に会っておけば良かった…残業でデート駄目にしちゃったんだよな)
身体はもう半分以上川の中
周りに康治を止める人間は居ない
 (実家にも帰っていれば良かった…ご免な母さん)




 翌日
現在の新聞に白骨化死体の記事が挙がった
持ち物があった為、身元はすぐわかったが死体の状況、死亡推定時刻と携帯の使用履歴が合わないと言う面で不可思議な事件と書いてあった
 「あら、この前の時計の…まぁあの状況じゃ自殺に走ってしまうかもね」
小夜は平然と記事を見ていた
 「あの時計買った奴が死んだのか?」
奥から声がした
 「そうみたいね。ちゃんと注意したのに人の言うこと聞かないからよ…っておじいちゃん!?駄目じゃないその薬お茶で飲んじゃ!効き目無くなっちゃうでしょ」
 「あ…すまん…」
 「なんで誰も私の言うこと聞いてくれないのかしら…」
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朱蓮堂-時計-②
2007-10-24 Wed 00:12
 自宅の有るマンションに着き、鍵を開けようと穴に刺しこんで回した…が…
-あれ、俺今朝鍵掛けないで出たんだろうか
そう思いながらドアを開けると食事の香りが中を漂っていた
 「康治おかえりー」
キッチンから一人の女性が顔を覗かせる
 「何だ美恵か。来るなら連絡くらいしろよ」
 「だって驚かせようと思ったんだもん」
無邪気な笑顔をしながら答えたのは恋人の美恵だった
そう言えば先週合鍵を渡したばかりだった
着替えをしようと荷物をソファに置いたとき美恵が大荷物を不思議そうに見た
 「ああ、これ?帰りに買ってきたんだ。良い感じに年季の入った時計だろ?」
自慢気に袋から出して見せる
 「へ~康治にそんな趣味があったんだ」
そう言い残して美恵はまた料理に取り掛かる
康治は着替えを済ませ、早速時計を掛けた
振り子を動かすと一気に部屋がタイムスリップしたような感覚になった
規則正しい振り子の音がどこか懐かしさを感じさせる
 「なんかおじいちゃんの家にいるみたいね」
出来あがった料理を運びながら美恵が言う
 「お前のじいちゃん家にこんな時計あんの?」
子どもの様に目を輝かせて問う
 「違うわよ。イメージの話よ」
そうか。と康治は肩を落としてしまった

それから一月が経ったある日、康治はふと時計を見た
-あれ、狂ってんのかな
そう思い携帯の液晶を見る
10分ほど時間が進んでいた
 「こういうのってずれ易いのかな」
そう良いながら時計を直そうとして手に取ったとき
 『時計の時間がずれても決して針をいじらないで下さい。決っしてですよ』
と言う店主の言葉を思い出した
それに一瞬手が止まってしまう
少し考えていじらずに掛けようとしたが
-きっと修理が大変だから言ったんだろうな
そして康治は針を動かした
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朱蓮堂-時計-①
2007-07-23 Mon 00:36
 午後の日差しが差し込み、少々暗めの店内も明るく感じられる
客足はまったく無く小夜は本を片手にカウンターに座っていた
 カランカラン…
ドアに吊るしてある鐘が来客を告げる
 「すみません」
若めの男性の声だ
 「はい、いらっしゃいませ」
本にしおりを挟んでカウンターから出る
辺りをキョロキョロと見まわしている
 「何かお探し物ですか?」
男は小夜を見るなり少し驚いたような表情をしている
無理も無い
この店に来た客は皆同じ反応をする
雰囲気が老人が店主をしているような店なのだから
 「あ…っと済みません…時計が欲しいのですが」
 「時計…ですか」
小夜も辺りを見まわす
品が多すぎて商品をすべて把握できていないのだ
すこし店内を歩くとすぐ見つかった
 「古いですがこれはいかがですか?というか当店では生憎と時計はこれしか…」
差し出したのは年季の入った振り子時計だった
若者にはあまり馴染み無いと思いつつ見せてみた
 「よかった。こんなのを探していたんです」
男は喜んで笑顔を見せた
カウンターに行き袋に入れる
 「お幾らですか?」
 「お客様の思う値を。貴方にとって幾らの価値があるかをお決め下さい」
そう言うと少し考え込んでしまった
暫くすると「これで」と2万円を差し出した
 「ありがとうございます」
ふだんと同じ笑みで受け取る
袋を渡し、男が店を出ようとしたとき
 「あ、すみません」
ドワノブに手を掛けてこちらを振り向く
 「時計の時間がずれても決して針をいじらないで下さい。決してですよ」
その言葉に少し首を傾げて店を出ていった
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